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文の要約は上手ではないが、たったひとつの言葉、一番小さな単位であらわすのは簡単だった。

いつだってそうやって、そしていつも誰も受け取ってくれなかったけど、

それでも壁とキャッチボールするように、投げ続けるのは義務のような感じであって。


それでも、大事な人との別れ際に投げかける言葉は、いつも投げられなかった。

最後まで悩んでいた。

ありがとう なのか さよなら なのか。

相手は壁じゃない。

どうやって投げたら取りやすいだろう、私のせいで取り落としたらどうしよう、もし投げかえってきたらどう返そう。

悩みながら、焦りながら、ボールを握り締めた手を後ろ手に隠して、空いた手で手を振った。


あの日見た顔は忘れてしまっても、なげられなかったボールはいつまでも残ったまま。

ひとつ、ふたつ。

これは私の思い出じゃなくて、かといって誰かの思い出でもなくて、ただ投げられて終わるはずだったのに。

余計に増えた重さを支えて、私の土台は狭くなった。

そしていつまでも捨てられない言葉を、集めて並べて鑑賞する愚かさ。

私はまだ、過去とのつながりを未来に望んで、両手を埋めたまま未来を眺めてる。


F

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